火鉢 帰ってくるあなたが、最高のプレゼント。

2017年10月9日

火鉢 クセになるナゾトキファンタジー

二人が居間へと向かうと
テマンが右往左往する姿がちらりと
見える

「あ…大護軍・・・」

「どうしたの?エギョン
屋敷の外まで怒鳴り声が漏れて
いたわよ」

「出迎えもせず申し訳ございません」

エギョンは深々と一礼する

「それは、良いんだけどどうしたのよ
エギョンの怒鳴り声なんて聞いた事
ないから驚くじゃない、説明して」

エギョンのそばには、涙をため佇む
サンミとイルム
長卓の上には、火鉢でこんがり
焼けた鶏肉…だがよくみると
どうも不恰好である
そう…手羽の部位が両方足りないのだ

ウンスがそれを見つけ
サンミとイルムに目を向けると・・
口の回りは油まみれ
手には手羽の食いさしが握られていた

「もう分かったわ…ようはつまみ食い
をして怒られていたって事ね」

「そうでございます…奥方様
主の食事をつまみ食いなど
以ての外でございます
暇を出されても致し方ないこと
ですから、旦那様と奥方様にご相談
申し上げ暇を出そうかと」

「・・肉を食ってみたかっただ・・」

「・・申し訳ありません、旦那様
奥方様・・どうしても食べてみたくなり
二人でつまみ食いをしてしまいました
暇だけは勘弁して下さい」

ヨンには、ウンスが女主としてこれから
吐くであろう言葉が浮かんでいた
口の端をあげるとテマンに
合図を送る。テマンもまたそれを
理解し、チョンスを連れ庭へと消える

深々と頭を下げる若い二人

「そうよね…この時代肉は
一部の人しか食べれないわよね
初めてだったの?美味しかった?」

こくこくと頷く二人

「他の屋敷の事はまったく知らないけど
チェ家では、そんな些細なことでは
暇を出さないわよ!二人ともよく働いて
くれるじゃない…エギョンそうでしょう
?それに伸び盛りの若い二人が
初めて仕出かした粗相じゃない
目くじら立てないの!」

「はあ・・・・ですが・・」

「良いのいいの!食べてみたかったのよ
誰でもあり得ることよ、以前王妃様から
肉のお裾分けを頂いた時、二人とも
居なかったかしら・・?」

「そう記憶しておりますが」

「そう…なら尚更ね
私は身分の上下なんて、一度も考えた
事ないわ…みんな家族だと思って
いるから、さあ二人とも顔を上げて
手を洗ってらっしゃい
そんな油まみれの手で、あちこち
触られたらそれこそ大変よ…ふふふ」

そう名裁きを下してはみたものの
ちと不安になり、隣に腰掛ける
ヨンの顔をちらりと見ると
目元を緩め見つめ返すヨン

「あ~良かった・・」

「見事な裁きであったぞ…ウンスらしい
と言えるな」

それでこそチェ家の女主といえよう
人を見下さず、分け隔てなく接し
心を豊かにして下さる
そんな貴女だから、恋い慕う
心根がいつまでも消えることはないのだ

ヨンはそう胸に秘め見つめていた

「お待ちどう様です」

盆に乗せ、鶏肉を
テマンとチョンスが運んでくる

「わ~~凄い、今更なんだけど
ところで、この鶏肉どうしたの?」

「腹が減るのであろう?肉には
目がないであろう?ゆえにあちこち
駆けずり回り、差配させた
叔母上も力を貸してくれたゆえ
遠慮せず皆も食べよ」

ヨンはからかい半分でウンスを
見つめ口の端をあげる

「もう~その顔!!でも私達では
食べきれない数だけど、誰か来るの?」

「さあな」

「邪魔をするぞ…」

「叔母様…トギ、ポン、え~ミント
アルまでどうしたんです」

ウンスは、椅子から立ち上がり
叔母の突然の来訪に眼を見開く

「なに、王様がお泊まりゆえ
邪魔者は、早々に退散してきたと
言うわけじゃ、エギョン客間に
五人分の床の支度を頼む」

「は、はい…すぐに」

ばたばたとエギョンが姿を消すと
サンミ、イルムも後を追う

「トギに声を掛けたら、皆が我も我もと
名乗りをあげてのぅ…すまぬな」

「私達 武閣氏は違います!
チェ尚宮様の護衛で、お供したまでに
過ぎませんから」

ミントは胸を張り言い訳を口にする

「ふふふ…ミントったら肉の匂いが
王宮まで届いたのかしら…さあ皆さん
食べて下さい…せっかく
叔母様と、この人が用意して
くれたんだから、余らせないでね
この時期、傷むのが早いから
もったいないわよ」

それぞれが鶏肉を美味しそうに頬張る
ウンスの頬張る姿に、一同の手が
止まり凝視する

「え?なに?私の顔に何かついてる?
モグモグ」

「いや…懐妊している為なのか
地なのか、区別がつかぬと思うてな」

「もう…叔母も戯れを仰るんですね
でも二人分ですから今だけですよ」

ウンスはぷぅ~と頬を膨らませ
皆の笑いを誘うのであった
無論サンミとイルムにも
お腹いっぱいになるだけの鶏肉が
分けられ、会話も弾み夜遅くまで
夕餉の宴は続いたのである

ポチっとして下されば嬉しいです

もはや人道主義では火鉢を説明しきれない

ラーメンは近年わが国でものごっつう進化を遂げているが、ルーツは中国だろう。それで街のラーメン屋で使用の鉢はだいたい中国風味の磁器。雅趣が感じられるもんはついぞ見かけたことがないが、ラーメン自体がゲサクな食いもんだけにお似あいかもしれない。んが、家庭でもそりの同類では、料理なんかやらない毒身おのおがアパートで出前とって食ってるみたいで侘しい。

んじゃルーツに忠実に明、清代の鉢の似せもんを使用したらどーよ。

 

 
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炊き合わせ鉢として口径20cm前後、高さ10cmまでの昔の中国製鉢がいろいろ掲載されている。

このうち呉須赤絵・青絵は輸出向け、祥瑞は日本特注。それらを除くと本国で上級市民以上が汁ものを盛ったことがあるだろう。但しそれから小椀によそったんじゃなかろうか。麺類を伴う汁ものはじかに食ったのかも。すると〇〇年製銘が真正官窯のものだとして白磁、染付、色絵は皇帝がそりで麺類を啜ったかもしれない。まさに究極/至高のラーメン鉢になるのやないの。

そこでそれらにわが家で造るインスタントせいぜい袋物のラーメンを盛った様子を想像してみる。馬子にも衣装効果を期待するのだが、こゆラーメンはどーにもならないクラスの馬子のようだ。

それらはわが国に渡来してから長らく茶方では懐石の預け鉢乃至菓子器として使用されてきた。うどん、そばの類は盛られたことはない。こりは呉須赤絵・青絵、祥瑞も同様。この経緯が一層場違い感を強める。

明・清代鉢の似せもんは断念していたら、ラーメン鉢と表示して売られている↓に出くわした。

口径19.5×22.5cm 高さ7cm

十場天伸 7,236円(税込)/客2017年

いちょう(東急東横線など田園調布 HPあり)

グラタン皿を深くしたような形でラーメン用というのに意表をつかれた。

鉄〜飴釉、見込にイッチンでだろう自由な線描。文様は画像外に少なくとも3パターンあった。

 

 
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スリップウェア p106

一面に有色の化粧土をかぶせることをスリップというが、その泥漿でイッチンの筒描きによって文様をつけること(ケーキに生くりぃむ入れたチューブでデコレーションする按配)も意味する。

バーナードリーチによってイギリスから移入されいわゆる民芸で多用されるようになった。

民芸の民とは庶民であか抜けない泥臭さ。土俗的な製品にも美があるとした。製造者の身分・階級、職業によって作物の美醜は決まらないーこりはいいだろう。が、用の美などと言い始めると首をかしげる。およそ人間が造るもんはしべてなんらかの用途がある。役に立つ即美しいならわれわれのうちは美術館で特に別に美術館などいらないはず。んなバーな考えだーら河井寛次郎記念館には田舎の火鉢みた感じの作品が並ぶことになる。魯山人が見捨てたのがようわーる。2度と見たくもない。益子なんぞわざわざ出かけてもさすが南東北だねとおーうだけで時間のムダ。

いまだにそれも民芸調でない品について何か上等にでもなるとおーってか用の美を宣伝で使う器屋がいるのだが、バーじゃないの。

ここまでけなしながらご紹介はその一派。現代日本のラーメンはアッパーな食いもんではない。庶民が昼飯にラーメンの香りを嗅いで鼻の穴を膨らませる。そゆもんに皇帝の器を持ち出してもはじまらない。下手物けっこうなのだ。

ところで、カップヌードルは毛唐、南蛮にもウケているらしい。

 

 
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もし、エゲレス貴族平民がラーメンを自国の伝統的な製法のボウルで食いたいとおーったとしたらどーゆー形態を想定するのだろうか、こんなんちゃうか。

ガス直火にかけられるのも便利だ。

大食いがシチューやドリアなんぞを食うバヤイにも使えるだろう。

袋物のちゃんぽん

息子の見解によるとバーミヤンよりうんまい。におんの工業は食品分野においてもハンパねー。

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